<2019年度重大ニュース>聖火リレー・コースの放射能汚染

2019年度重大ニュース

東京五輪の国内聖火リレー出発地点である福島県のサッカー施設「Jヴィレッジ」周辺で、高い放射線量が観測された。国際環境NGO グリーンピース・ジャパンが10~11月に行った放射能測定で、Jヴィレッジに隣接する楢葉町所有の駐車場と山林の境界部分で、地表毎時71マイクロシーベルト、地表1メートルで1.7マイクロシーベルトが観測された。指摘を受けた環境省が調べたところ、同様の数値が確認された。

その後、福島県が聖火リレーのコースや沿道を測定したところ、最大値は車道で毎時0.46マイクロシーベルト(郡山市)、沿道が0.77マイクロシーベルト(飯舘村)だった。これは公衆の被ばく限度とされる年1ミリシーベルト(毎時0.11マイクロシーベルト、国の換算だと毎時0.23マイクロシーベルト)をはるかに超える値となる。また、測定地点の平均が最も高かったのは飯舘村で、404地点の線量平均は毎時0.25マイクロシーベルト。約半分の場所で毎時0.23マイクロシーベルトを上回っていた。

ふくいち周辺環境放射線モニタリングプロジェクトによる測定風景

NPO法人市民放射能監視センター「ちくりん舎」および「ふくいち周辺環境放射線モニタリングプロジェクト」が、聖火リレー・コースおよびその周辺69か所で行った調査によると、全調査地点中62%で、毎時0.23マイクロシーベルトを上回った。また、飯舘村内で1か所、2,140,000Bq/m2という極めて高い土壌汚染を示した箇所があった。さらに大熊町で3か所、飯舘村で3か所、川内村で1か所100万Bq/m2を超える高い土壌汚染を示す地点があった。

ちくりん舎の青木一政副理事長は、「聖火リレー・コースは住民が住んでいる場所でもある。福島県は、『(沿道で最大だった飯舘村に)4時間滞在しても0.0033ミリシーベルト程度で問題ない』としているが、住民にとっては年間6.57ミリシーベルトとなり、公衆の被ばく限度の6倍を上回る」と指摘する。

(「福島の今とエネルギーの未来2020」)

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