2019年9月、高浜原子力発電所が立地する福井県高浜町の元助役森山栄治氏(故人)から、関電の役員ら20人が長年にわたって少なくとも3.2億円相当に及ぶ金品を受け取っていたことが共同通信のスクープで明らかになった。また、関電が森山氏が顧問をつとめる建設会社「吉田開発」に発注した工事121件のうち、91件で概算額などの情報を事前に森山氏に伝えていた。さらに、「吉田開発」は、国の電源立地地域対策交付金を活用した事業を6年間で計12事業、高浜町から受注していた。契約額は11億円にのぼる。さらに、関西電力側が1996年9月に福井県美浜町で着工した原発関連施設の工事を巡り森山氏がゼネコンの熊谷組に受注させるよう当時の関電幹部をどう喝し、関電側が競合相手の大林組を説得、落札を断念させていたことも発覚。
関電が高浜町や福井県など原発立地地域にカネをばらまいてきたことを考えれば、これは、「原発マネー」の還流である。市民団体「関電の原発マネー不正還流を告発する会」は12月13日、関電の役員に対して、会社法の特別背任容疑、収賄容疑を問う告発状を大阪地検特捜部に提出した。全国から募った3,272人が告発人となっている。
(「福島の今とエネルギーの未来2020」)