世界的な発電費用の推移

    福島の今とエネルギーの未来

    この10 年、エネルギーをめぐる世界の状況は劇的に変化しています。安い電気と言われていた原発は、今や最も高い電気。再生可能エネルギーによる発電量が増え、さらにコストも安くなっているのです。

    投資会社ラザードが発表している電源別の発電コスト1 をみてみましょう。世界的に再生可能エネルギーのコストが下がる一方、原発のコストは2009年から2021年にかけて3割以上上昇していることがわかります。

    原発が他の電源に比べ、とくに高いのは建設費などの初期費用です。技術的に複雑で、厳重な安全対策が必要だからです。

    2019 年、日立製作所が英国ウェールズへの原発輸出計画を凍結したことが大きく報じられました。建設費が高く採算がとれないこと、ビ ジネス・パートナーが見つからなかったことが主要な理由です。この事業では、日立の完全子会社ホライズン・ニュークリア・パワー社が、 ウェールズ北部のアングルシー島に原発を2基建設する予定でした。2020年には事業からの完全撤退を正式に決定しました。結局のところ、3兆円の事業費、つまり1基1.5兆円という巨額のコストを誰が負担するのかという点が株主 に説明できない、という点が判断の分かれ目になりました。(関連記事 p.57)

    1. LAZARD’S LEVELIZED COST OF ENERGY ANALYSIS — VERSION 15.0, 2021年10月
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