<2019年度重大ニュース>伊方原発3号機、運転差し止めの仮処分決定

四国電力伊方原発から50km圏に住む山口県の島の住民が申し立てていた3号機の運転差し止め仮処分申請で、2020年1月17日、広島高裁(森一岳裁判長)は、地震や火山の噴火によって住民の生命や身体に具体的な危険があるとして、運転を差し止める決定を出した。2019年3月の山口地裁岩国支部決定では「原発の運用期間中に巨大噴火が起きる可能性は小さい」などとして、住民側の訴えを退けていた。

森裁判長は、伊方原発の敷地の近くに活断層がある可能性を否定できないとし、「原発までの距離は2km以内と認められるが、四国電力は十分な調査をせず、原子力規制委員会が問題ないと判断した過程には誤りや欠落があったと言わざるをえない」と指摘。また火山の噴火に対する安全性については、阿蘇山で噴火が起きた場合の火山灰などの影響が過小評価されているという判断を示した。

3号機は定期検査で停止中だが、今後の司法手続きで覆らない限り、定期検査が終了しても運転を再開できない。

伊方原発では、制御棒を誤って引き抜く、作業中にすべての電源を一時喪失して停電し、核燃料プールの冷却が43分停止するなど重大なトラブルが相次いでいることから、四国電力は「当面、異議申し立てを見送る」としたものの、2月19日、決定の取り消しを求める保全異議と、仮処分の執行停止を同高裁に申し立てた。

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(「福島の今とエネルギーの未来2020」)

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