核燃料サイクルはすでに破綻

    福島の今とエネルギーの未来

    原発を動かすと使用済み核燃料が発生します。様々な放射性物質が大量に含まれており、たいへん危険です。

    日本では、使用済み核燃料を「再処理」する計画です。「再処理」とは、使用済み核燃料を切断し、硝酸で溶かし、プルトニウムとウランを回収することで、この過程で人が近づけないような高レベルの放射性廃液が発生します。この廃液をガラスと混ぜて固化したものを「核のごみ」と呼びますが、この段階でも人が近づくと短時間で死亡するほど危険な上、最終処分地も決まっていません。そのため、原発は「トイレなきマンション」と呼ばれることもあります。再処理でプルトニウムが回収されますが、プルトニウムは核兵器の材料にもなるため、国際社会から厳しい目が向けられています。日本のプルトニウムの保有量は約46トン。核兵器数千発分に相当します。

    青森県六ヶ所村では、1993年から使用済み核燃料の再処理工場の建設が進められていますが、トラブル続きで25回も完成が延期。再処理で回収したウランとプルトニウムで「MOX燃料」をつくり、一部の原発で使用する計画となっています。MOX燃料が使える原発はあまりない上、使用済みMOX燃料を処分するための施設もありません。

    政府の「核燃料サイクル」計画では、再処理工場に加えて、高速増殖炉「もんじゅ」も中心的役割を担うとされてきました。福井県敦賀市にある「もんじゅ」は「夢の原子炉」とされ、プルトニウムを消費すると同時に、消費した以上のプルトニウムを生み出すことになっていました。しかし、トラブル続きで、2016年12月に廃炉が決定。この「もんじゅ」の失敗で、「核燃料サイクル」は事実上破綻に追い込まれました。(p.48 参照)

    タイトルとURLをコピーしました