<2019年度重大ニュース>除染土再利用のための省令、先送りに

環境省は、かねてより、福島県内の除染で生じた1,400万m3とされる土壌および廃棄物のうち、 8,000Bq/kg以下のものを「遮蔽および飛散・流出の防止」を行った上で、道路・鉄道・海岸防災林・防潮堤の盛土材や農地の嵩上げ材などで利用できる方針を打ち出していた。これを法的に位置づけるため、環境省は、省令改正案を1月8日から2月7日にかけて一般からの意見公募(パブコメ)を行い、4月1日から施行する予定であった。

省令自体、たいへん曖昧なものであった。たとえば、情報公開にかかる規定や、汚染土の濃度や管理にかかる規定も明確ではなかった。FoE Japanは声明を出し、「このままでは、高濃度の放射性物質を含む除染土が、住民の知らない間に再利用され、ずさんな管理により除染土が拡散してもその責任をだれも負わないということになりかねない」と強く警鐘をならした。

パブコメ期間中、2,854件の意見が寄せられたが、「再生利用は汚染の拡大を引き起こす」「集中管理すべき」「災害による土壌の流出リスクがある」などの反対意見が多かった。また、「説明が不十分」「実証事業により無害であるという根拠がない」などの意見もみられた。

環境省は省令の施行を先延ばしにした。報道では、「異論が相次いだため」とされているが、環境省自身は「地元から農地で栽培できる作物について、食用作物も実証事業に加えてほしいという要望があった」としている。(2020年4月更新)

詳しくは「除染で発生した汚染土を再利用?」 

(「福島の今とエネルギーの未来2020」より一部更新)

タイトルとURLをコピーしました