東日本大震災から 1 年 2 か月後の 2012 年 5月の段階で、福島県からの避難者は 16 万人以上にものぼりました。10 年以上たつ今もなお、 34,000 人以上の人たちが避難を継続しています(2021 年 12 月、福島県発表)。実際はこの数字に含められていない避難者も多くいます。政府指示の避難区域外からも多くの人たちが 避難しました。子どもや家族を守るため、賠償も支援もないまま避難を決断したのです。 2011 年 12 月、ようやく認められた賠償も一律少額で、避難に伴う経費をカバーするには程遠い額でした。中には、高齢者、障がい者を抱えている人や、シングルマザーで頼る人がいないという人もいます。
2017 年 3 月、国は避難指示区域外からの避難者向けの住宅支援を打ち切りました。東京都が同年7~8月、打ち切り対象となった避難者へのアンケートを実施したところ、世帯月収が 10 万円以下の世帯が 22%、20 万円以下の世帯が 52%に上っており、厳しい経済状況に置かれていることがわかりました。
新潟県が実施した原発事故の検証委員会の調査によれば、避難により、毎月の平均世帯収入は 10 万円以上減少し、正規雇用や自営業から非正規・無職の人が増加していることがわかります。
このようにいくつかの自治体で避難者の実情把握のための調査が行われていますが、国による調査はおこなわれておらず、避難者がどのような状況におかれているか、断片的な情報しかありません。コロナ禍が、避難者の困窮にさらに追い打ちをかけている状況です。