失われたコミュニティのかたち

    福島の今とエネルギーの未来

    2014 年以降、避難指示は次々に解除されていますが、帰還がなかなか進まず、居住は一部にとどまっているのが現実です。また、若い世代が帰ってこないため、高齢者世帯がぽつりぽつりと点在するような居住状況が生じています。

    図は避難指示が解除された地域における人口に比した、実際に居住している人の数です。ここには帰還した人に加え、原発関係の作業、復興事業などで新規に転入した人も含まれています。

    「近所では次々に家が取り壊されていきます。散歩に行っても世間話ができる人がいません。これが本当に “復興” なのでしょうか」と富岡町に帰還した 90 代の男性は語ります。

    復興庁の住民意向調査によれば、「戻りたいと考えている(将来的な希望も含む)」と回答したのは、富岡町で 9.5%、双葉町で 11.3%と 1割程度にとどまっています。一方で、「戻らないと決めている」が富岡町で 49.3%、双葉町は 60.5% に上りました1

    双葉町は、全域が帰還困難区域に指定され、全住民が帰還できない状況が続いていましたが、2022 年 6 月から住民の帰還が開始されます。今年 1 月から「準備宿泊」が始まりました。しかし、宿泊を申請したのは 1 月 20 日時点で 11 世帯 15 人にとどまりました2


    1. 復興庁「原子力被災自治体における住民意向調査」(2021 年 12 月 7 日)
    2. 毎日新聞「福島第 1 原発事故 双葉、準備宿泊開始 家族と喜びかみしめ 参加者わずか、荒廃に怒りも」(2022年 1 月 22 日)
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