
世界的に、再生可能エネルギーへの投資が拡大しています。原子力と比べてみても、圧倒的に風力と太陽光に対する投資額が大きくなっています。世界原子力産業ステータスレポート2024年版によると、ここ数十年、再生可能エネルギーへの新規投資額は原子力を上回っています。2023年には、再生可能エネルギーへの新規投資額は、6,230億米ドルで、8%増加しました。そのうちの大部分が太陽光発電への投資で、12%増の3,930億米ドルでした。注目すべきは蓄電技術への投資も進み、原子力への投資額を上回ったということです。
一方で、原子力への投資は近年ほとんど変化しておらず、2023年は230億米ドルにとどまりました。
国別・地域別にみると、再生可能エネルギーへの投資は、中国の割合が圧倒的に大きく、その額は急速に増加しています。2023年には、EUとアメリカにおいて再エネへの投資が急増しました。中東においても再エネの投資が進んでいますが、化石燃料に比べるとまだその額は相対的に低いままです。
原子力はそのリスクの大きさから公的支援なしには建設できません。2020年、日立製作所が英国ウェールズへの原発輸出計画を撤退したことが大きく報じられましたが、これには日英両政府の公的支援が確保できなかったことも背景にありました。国がコストとリスクを肩代わりしなければ建設できないほど、原子力はリスキーなビジネスなのです。
日本では政府による債務保証も
日本政府は、第7次エネルギー基本計画で、原発などについて「投資額が巨額になることなどから事業者が新たな投資を躊躇する恐れがある」とし、公的な枠組みでのファイナンス支援を検討するとしています。また、民間金融機関等が取り切れないリスクについて、「公的な信用補完の活用とともに、政府の信用力を活用した融資等を検討する」としています。
現在、原子力事業者は原発の維持費や安全対策費などがかさみ、これ以上、銀行から融資を受けられなくなっています。このため、政府は、原発の新規建設に際して、事業者が銀行から融資を受けられるよう、 GX推進機構など政府機関が債務保証を行う方針を打ち出しています。しかし、これは将来世代も含めた一般市民に、原発のコストとリスクを転嫁することにつながるのではないでしょうか。
(本記事は、2025年3月時点の情報をもとにまとめています)
