
2024年9月、青森県むつ市の中間貯蔵施設に、新潟県柏崎刈羽原発から初めて使用済み核燃料が運びこまれました。また、中国電力は2023年8月、山口県上関町に、使用済み核燃料を一時保管する中間貯蔵施設の建設を検討すると発表しました。使用済み核燃料の保管場所探しが難航している関西電力と共同開発する見通しです。
この背景には、現在、全国の原発で使用済み核燃料を貯蔵するプールが満杯に近づいていることがあります。
日本政府は使用済み核燃料を全量「再処理」する核燃料サイクル政策を推進しようとしています。その中核を担うのが六ケ所再処理工場(青森県)です。
六ケ所再処理工場は、1993年に建設が開始されました。1997年に完成する予定でしたが、27回も完成が延期されています(上図)。着工から32年たつのに完成せず、総事業費は増加し続けています。直近の発表では17兆5,300億円にものぼります(2024年6月)。核燃料サイクル全体では、合計22兆円を超えると見積もられています1。(図2)

出典:毎日新聞「迷走プルトニウム 核燃料サイクル事業費、工場未完成でも22兆円超 さらに膨らむ見込み」(2025年1月24日)
再処理工場では、使用済み核燃料から、プルトニウムとウランを回収するということになっています。この過程で、人が近づけないような高レベルの放射性廃液が発生します。これをガラス原料とまぜ、ガラス固化体にします。ガラス固化体は専用の貯蔵施設で30~50年間冷却し、その後300m以深の地層中に処分することになっています。処分地については決まっておらず、候補地選定の第一段階である文献調査が、北海道寿都町、神恵内村、佐賀県玄海町で実施されています(図3)。

出典:FoE Japan作成
再処理工場を動かせば、プルトニウムが生み出されますが、プルトニウムの余剰を持っていることは、核兵器への転用の可能性があるため、国際的に問題になります。政府は、MOX燃料(プルトニウムとウランの混合燃料)をつくり、一部の原発で使用するとしています。プルトニウムの余剰を増やさず、MOX燃料として使いきるには16~18基必要と言われていますが、国内ではMOX燃料が使える原発は5基だけです。MOX燃料を使用したあとの使用済みMOX燃料を処分することは、現状、国内では不可能です。
「核燃料サイクル」のもう一つの要であったのが、高速増殖炉「もんじゅ」(福井県)でした。
「もんじゅ」は、相次ぐ事故や不祥事で、2016年12月に廃炉が決まりました。稼働可能であった20年超の間、稼働できたのはわずか250日。この「もんじゅ」には1兆円を超す国費が投入されました。廃炉には3,750億円かかると見積もられています。
つまり、核燃料サイクルはずいぶん前から破綻が明らかになっているのです。
文献調査は2020年に寿都町、神恵内村で全国で初めて行われました。実施機関の原子力発電環境整備機構(NUMO)は、寿都町の全域と、神恵内村の南端の一部を候補地として示し、第二段階の概要調査に進むことができるとした報告書案をとりまとめました。対象自治体に対しては、「文献調査」では交付金20億円、「概要調査」では70億円が支払われます。調査に反対する住民も多く、深刻な住民の分断が生じています。
長崎県対馬市では、2023年9月、比田勝市長が文献調査を受け入れないことを表明。理由として、市民の合意形成が十分でないこと、文献調査だけにとどめることはできないこと、地震などの想定外の要因による安全性への不安などを挙げました。一方で、玄海原発が位置する佐賀県玄海町の脇山伸太郎町長は、2024年5月、多くの町民の反対の声を押し切り、文献調査を受け入れる考えを表明しました。
国は「核のごみ」を交付金をはじめとしてあの手この手で過疎に悩む地域の自治体に受け入れさせようとしていますが、その準備段階から地域住民の間では大きな葛藤と分断が生じているのが現状です。
使用済み核燃料の行き場がないのにもかかわらず、原発の「最大限利用」が進められようとしているのです。
(本記事は、2025年3月時点の情報をまとめたものです)
出典
- 毎日新聞「迷走プルトニウム 核燃料サイクル事業費、工場未完成でも22兆円超 さらに膨らむ見込み」(2025年1月24日) ↩︎
